研究でわかっていること
What research says about orphaned kittensRESEARCH NOTES「赤ちゃん猫を見つけたら」のもとになった、論文や獣医療の専門誌、大学の研究発表に書かれていることを、出典つきでまとめました。数字は出典に書かれているままです。
01 — 温度と湿度
32℃前後・湿度50〜60%で、よく育った。TEMPERATURE & HUMIDITY
カリフォルニア大学デービス校の研究では、保護された生後7日以降の赤ちゃん猫を、生後3〜4週ごろまで、保育器(インキュベーター)で育てました。保育器の中は、温度を華氏80度(約27℃)か華氏90度(約32℃)、湿度を50%か60%にして、飲んだミルクの量と増えた体重を比べています。
その結果、生き残った子猫では、華氏90度(約32℃)で育てた子のほうが、飲んだミルクを効率よく体重にかえられていました。研究では、32℃前後・湿度50%か60%で育てるのがよいと考えられる、とまとめています。
保育器を出たあと(生後4週ごろ)は、華氏80度(約27℃)・湿度50%で育てていました。
また、この研究のはじめには、保護された赤ちゃん猫が亡くなる割合は、15〜40%と見積もられていると書かれています。
02 — 夜のミルク
夜も、昼と同じようにミルクを。NIGHT FEEDING
同じ研究では、ボランティアの人たちが、昼(朝6時半〜夕方6時半)に夜より多くミルクをあげていました(昼と夜の量の比は、平均1.35)。そして、昼にくらべて夜のミルクが少なかった子ほど、飲んだミルクを体重にかえる効率が悪い、という結果でした。
研究では、昼にまとめてあげるのではなく、24時間を通してミルクをあげる方法を考える必要がある、としています。
下痢をしていた日が多い子や、生き残れなかった子も、ミルクを体重にかえる効率が悪かったと報告されています。
03 — 初乳と抗体
抗体を取り込めるのは、生まれてすぐだけ。COLOSTRUM
お母さん猫の初乳(生まれてすぐのお乳)には、病気から体を守る抗体がたくさん入っています。生まれたばかりの子猫の血液には、抗体がほとんどありません(182匹を調べた研究で、生まれたときに抗体が見つかった子はいませんでした)。
子猫が腸から抗体を取り込めるのは、生まれてから限られた時間だけです。専門誌の記事では、少なくとも48時間はお母さん猫の初乳を飲めるのが理想で、そのあとは腸が抗体を取り込めなくなるため、食べ物(ミルク)から抗体を補うことはできない、と書かれています。
つまり、この時間を過ぎてから「初乳入り」のミルクを飲んでも、抗体を体に取り込む効果は期待できません。抗体が足りない場合は、動物病院で血漿(けっしょう)を注射して補う方法があります。
- Claus MA, Levy JK, MacDonald K, Tucker SJ, Crawford PC. Immunoglobulin concentrations in feline colostrum and milk, and the requirement of colostrum for passive transfer of immunity to neonatal kittens. Journal of Feline Medicine and Surgery, 2006
- Wortinger A, Carozza E. Feeding Orphaned Kittens From Birth Through Weaning. Today’s Veterinary Nurse, Spring 2024(査読つきの動物看護の専門誌)
04 — ミルク
ミルクは「量」ではなく「カロリー」で考える。MILK
- 牛乳やヤギのミルクでは、子猫に必要な栄養が足りません。子猫用のミルクを使います。
- お母さん猫のお乳は、1mLあたり約1.21kcalです。市販の子猫用ミルクは、商品によって1mLあたり0.39〜2kcalと大きな差があります(専門誌の比較)。そのため、あげる量は「何mL」ではなく「何kcal」で考え、体重をこまめにはかって、増えているかを確かめるように、とされています。
- 必要なカロリーの目安:生まれたときは体重100gあたり約15kcal、生後4週までは体重100gあたり1日約24kcal。
- 回数の目安:生後1週は2〜4時間おき、そのあとは離乳まで4〜6時間おき。低血糖を防ぐためです。
- 水分も大事です。子猫に必要な水分は、1日に体重1kgあたり155〜230mLで、正しく溶かしたミルクからとれます。ミルクを濃くしたり薄くしたりするのは、獣医師の指示があるときだけにします。
- あげすぎて下痢になると、栄養が外に出てしまい、かえってエネルギー不足になります。
- 参考:Miaouが使っているロイヤルカナンの「ベビーキャット ミルク」は、粉100gあたり538kcal(メーカーの表示)です。
05 — 冷えと体重
いちばん危ないのは、冷えること。CHILLING & WEIGHT
- 赤ちゃん猫にとって、いちばん大きな危険は「冷え」です。体温が下がると、血糖も下がり、体のはたらきが止まっていきます。
- 冷えている子には、ミルクをあげません。体温が低いと、消化に必要な酵素がはたらかず、ミルクを消化できないためです。
- 急に温めすぎると、脱水やショックを起こすことがあるので、ゆっくり温めます。
- 健康な子猫は、生まれたとき85〜113g(3〜4オンス)ほどで、1週間で体重が2倍になり、1日に約14g(1/2オンス)ずつ増えるのが目安です。
- 生後2週までは毎日、そのあと生後1か月までは3日ごとに体重をはかり、記録します。
研究や専門誌の内容を、Miaouが分かりやすい言葉でまとめたものです。赤ちゃん猫の様子はそれぞれ違うので、お世話の方法は、かかりつけの動物病院に相談してください。